少しだけ未来と上手に付き合うために考えてみた。
言うは易し、行うは難しということわざがあります。
僕が今までそうだったのですが、そりゃ言うだけなら簡単だよね。でも実際やってみるのは大変だよね、程度に考えていました。
今タレブ氏の「まぐれ」という本を(3分の1ほど)読んでいるのですが、その中で後知恵バイアスという思考の偏りについて書かれている箇所があります。
後知恵バイアスと言うのは、結果を見たあとでこうすべきだった、ああすればうまくいったと考える思考の偏りで、言うは易しの状態です。
ワイドショーなどでスキャンダルを見て、評論している状態というのがイメージしやすいかもしれません。
野球を例にして書くとこんな場面です。
この打者を抑えれば勝ち、ホームランが出れば負けという状況。
ピッチャーの持ち玉はストレート、カーブ、チェンジアップです。
そこでピッチャーはカーブを投げました。
しかし鋭いスイングでカーブを捉えられ、スタンドに運ばれてしまいました。
逆転サヨナラ負け。
この場面で解説者は言います。
「あの打者はカーブにタイミングがあっていました。ここはやはりストレートで真っ向勝負の場面でしたね。」
これが後知恵バイアスです。
といってもこのような解説者の発言はよく聞くと思いますし、ある意味自然なものです。
脳の思考の癖として様々な思考の偏りがあるからです。
恐らくピッチャーもキャッチャーもカーブを投げるべきではなかったと思ったでしょう。
ただ気になるのは「なぜ、投げる前にそう思わなかったか」です。
「まぐれ」に書いてあったことですが、過去はすでに起きたことで、未来は予測がつかないことです。
シンプルに言うと結果がわからなかったからです。
こう言うと当たり前のことなのですが、過去に対する考え方と、未来に対処する考え方を変えたほうが後悔が少ないかもしれません。
でも僕たちは何となく未来に対する考え方と過去に対する考え方を同じような思考方法で考えていたりします。
過去に起きたことはすでに起きたので決定事項です。なので、一つのストーリーに対して「良かった・悪かった」論になりがちです。
反省するにしても、上記の例で言えば「ストレートかチェンジアップを投げたら良かった(ここでは話をわかりやすくするためにコースや高さの話は省きます)」と思うくらいではないでしょうか。
一方で未来に対して(投げる前)の考え方は、
①ストレートを投げる
②カーブを投げる
③チェンジアップを投げる
の考えうる選択肢に対して、それぞれシュミレーションして考える必要があります。
いきなりどれにする?と聞かれても判断や決断のしようがないので、例えばバッターの前の打席でどんなボールを空振りしたか、あるいはヒットにしたか等を参考にします。
もしかしたら、これまでタイミングが合っていなかった球種に急にタイミング合うことがあるかもしれません。
情報としては不完全です。
その不完全な状態で、上記の例で言えば3つの球種を投げた状態をそれぞれイメージして抑える確率と打たれる確率をシュミレーションする必要があります。
過去について考えることが一つのストーリーに評価を下すだけなのに対して、未来について考えることは不完全な情報で、いくつものストーリーを描くことになります。
そして、それぞれのストーリーに対してうまくいく確率と失敗する確率をシュミレーションした上で結果に対して良し悪しを判断して、決断します。
未来を考えるより、過去に起きたことに対して良い悪いを言う方がずっと楽だと思います。
はじめのことわざに戻りますが、言うは易しの状態は過去に対する思考、行うは難しは未来に対する思考と考えることもできるも思います。
では、未来に対する思考を少しでも楽にするにはどうしたら良いのでしょうか。
例えばですが、一つのことに対して常に3つの選択肢を作り、成功した場合と失敗した場合をシュミレーションして、それぞれの場合で自分が取る行動を予め決めておくやり方はどうでしょうか。
シュミレーションした上で、決断する段階は直感だと思います。
それぞれイメージしたシュミレーションに対して、直感で選ぶ。
はじめはシュミレーションするのにも時間がかかるでしょうし、想定外のことが起きて考えたことが無駄になったと感じるかもしれません。
それでも繰り返すことで上達し、短くより適切な決断ができるようになるのではないでしょうか。
そうなれば今より少しだけ未来と上手に付き合えるようになるかもしれません。
なんだか独り言のような長い文章ですが、読んでいただき、ありがとうございます。